あなたがT社の車を買うかG社の車を買うかは為替レートを決定するひとつの要因である。
あなたがG社を買えばその代金の円が外国為替市場でドルに両替され為替レートが円安ドル高になるように働きかける。
またあなたが定期預金を解約してドル預金を始めればそれも円安ドル高の要因となる。
現実にはその車の代金やドル預金はあなたにとっては大金でも外国為替市場の全取引に占める比率は僅少なのでそれ自体は為替レートに影響を与えない為替レートはあなたを含めた無数の人々の小さな決断が外国為替市場でぶつかり合って刻々と変化するのである。
誰も為替レートを特定の方向に誘導する意思は持っていない自分の利益を最大にするように行動しているだけである。
その行動がプロのディーラーがxx銭xx銭を巡って鏑を削る外国為替市場でぶつかり合って社会全体にとってもっとも望ましい為替レートが決定される。
し為替レートに与える影響の大きさは人によってずいぶん違う。
たとえばT社の取締役会のメンバーは株主から与えられた権限を行使してアメリカに工場を建設することを決定できる。
その決定はあなたがR車を買うことよりもはるかに強い力で円安ドル高になるように働きかける。
たとえばN会社の資金運用の責任者がN生命の運用する莫大な資金に占める外債外国株式の比率を変えることはあなたの外貨預金とは比較にならない強い力で為替レートに働きかける。
株主や保険契約者から与えられた権限を行使することによって為替レートに大きな影響を与える彼らもT社の株主やN生命の保険契約者の利益を最大にするように行動しているだけであって為替レートを特定の方向に誘導する意思など持っていない。
為替レートは貿易しやすいモノの価格を等しくするように動く世界中の人々はその時点での為替レートで計算して世界中から安いと思うモノを選んで買い得すると思う案件を選んで投資する。
したがってモノが安い地域有望な投資先がある地域の通貨は徐々に値上がりするはずである。
現在の為替レートで計算すれば私たち日本人にとっては食料や衣服の価格は海外のほうが安いから輸入する。
海外の人にとっては日本の自動車の価格が安いから輸出される。
その出入りを合計したものが日本の貿易黒字である。
日本の場合輸出の金額のほうが輸入の金額よりも大きい。
貿易収支の黒字は必ずそれ以外の収支の赤字で相殺される。
貿易以外の収支としては保険会社に支払う保険料や航空会社に支払う運賃などから成るサービス収支外貨預金や海外直接投資などから成る資本収支ODA(政府開発援助)や寄付などのように対価をともなわない移転収支などがある。
して社員に給料を払う。
そのドルが銀行にとどまっている間は短期資本収支の赤字としてカウントされる。
銀行(為替ディーラー)は為替リスクを負いたくないので、ドルを円に両替してくれる人を探す。
な機関投資家が米国債を買う海外に工場を建設する日本企業がドルを手当てするそういうドルとして落ち着く。
ここから長期資本収支の赤字にカウントされる。
の赤字にカウントされODA(政府開発援助)の円と両替されれば移転収支の赤字にカウントされる。
それでも余ったドルは最終的に政府の外貨準備となる。
これらの区分は経済統計上の便宜的な区分である。
要するに為替取引は両替であり交換されるドルと円の金額は必ず等しい。
さて世界中の人々が合理的に行動すればモノが安い国の通貨が買われ利回りの高い国の通貨が買われる。
経験的には為替レートは各国のモノの値段が同じになる方向に動く。
それを経済学の用語では購買力平価の理論という。
国によって経済の構造が異なるからすべてのモノの価格を等しくする為替レートはありえない。
アメリカ人は日本から安い自動車を輸入できるが日本人はアメリカから安い土地を輸入できない。
アメリカのほうが、土地が安いというだけの理由で日本の家を売ってアメリカに移住するわけにはいかない。
つまり為替レートは貿易しやすいモノの価格を等しくするように動く。
その好例は戦後ほぼ一貫して続いた円高ドル安である。
日本のT社の工場は生産性が高い。
他国の工場と比べて短い時間と少ない人手で自動車を製造できる。
世界中の自動車メーカーは日々生産性の向上に努めているがT社の生産性の向上に追いつけない。
したがって時を追うごとにT社の自動車の価格は安くなり円が買われる。
もちろんここでのT社は戦後日本経済の象徴である。
戦後の日本では繊維鉄鋼家電自動車コンピューターなど輸出に向いたモノを製造する産業に資本と人材が集中した。
それらの産業では他国より早く生産性が向上し製品の価格が低下した。
その結果円はほぼ一貫して主要国の通貨に対して上昇したのであるそれ以外の産業では資本と人材が不足して生産性があまり向上しなかった。
その結果輸出しやすいモノの価格を等しくするように決まった為替レートで換算して日本の物価は世界一高くなったのである。
外国為替市場の通常のプレーヤーは自分自身または自分が代理する人たちの利益が最大になるように行動する。
それは安いモノを買い高い利回りに投資することである。
したがって為替レートは各国の物価や金利の水準が近づくように変動する。
政府や中央銀行の政策は各国の物価や金利の水準を変動させる。
外国為替市場のプレーヤーはそれを見越して行動しなければ利益を得られない。
政府(日本では財務省)は外国為替市場において国家予算を資金にして巨額の為替投機を行うプレーヤーでもある。
1997年のアジア通貨危機の際に大損をしてからは控えているようだがかつてマレーシア政府は短期的な売買差益を狙った果敢な為替投機で名を馳せた主要国の政府が行う為替介入の意図は必ずしも売買差益を得ることではない。
普通は為替レートの急速な変動による経済の混乱を回避することである。
さてあなたが始めたドル預金が有利な投資になるかどうかは将来中央銀行と政府がどのような行動を取るかによって大きな影響を受ける。
したがってその決定権を握る人間の発言はドル預金の人気に影響を与え為替レートの水準に影響を与える。
法的には日本では財政政策の決定権は予算を議決する国会にあり金融政策の決定権は日銀政策委員会にあるひとりの人間の意思が為替レートに与える影響という意味では衆議院議員よりも財務省の官僚のほうが大きいかもしれない。
また日銀総裁が日銀政策委員会の決定に与える影響はきわめて大きいがまったくの独断専行が許されるわけでもない。
ともかく中央銀行と政府はその内部にいる特定の人間の強い影響の下で為替レートに影響を与える政策を決定する多くの市場参加者がその特定の人間であると考える者の言動はそれ自体為替レートに影響を与える。
その決定は為替レートに甚大な影響を与える株式と債券の市場の動きを注意深く観察してアメリカの大衆が望んでいる金融政策を探ろうと努めており為替レートに対して特定の利害関係を持たないように見える。
は大手証券会社の出身である。
証券会社の利益の源泉は取り扱う資金である。
実際財務長官退任後R氏は大手金融持ち株会社に天下りした為替介入は予算を使った為替投機であり差損が出れば国家の財産を段損する。
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